2015年3月15日日曜日

「蟹缶の弱音ハクなボヤ記」 四言目:私にとって、最も理想的と考えるボカロ曲発表の場

去る2月21日~22日にかけて行われた第1回世界ボーカロイド大会「VOCACON2015」に参加してきました。
その様子は下記のサイトの記事を読んでもらえればわかると思うので割愛します。
・togetter(第01回世界ボーカロイド大会 VOCACON2015 企画・公演資料、動画まとめ)
・ねとらぼ(バーチャルアイドルとの温泉旅行に人だかり 第01回世界ボーカロイド大会に行ってきました)
・週アスPLUS(初音ミクが花柳流の日本舞踊を華麗に舞った!「第01回世界ボーカロイド大会」)

私の感想としては、とても楽しい時間を過ごせました。
トークセッションや深夜の座談会での議論を通じてボカロと音楽の可能性みたいなものを感じることができました。
次回開催時にはもっと参加者同士の交流を促進する仕掛けがあるともっと楽しいものになると思いました。
あと、参加者のおっさん率が高かった(笑)。

さて、本題。
今回のボカコンに参加して1つ見えてきたのが、私が理想とするボカロ曲発表の場の在り方です。
それは、下手な曲と上手な曲が同時に存在し視聴できる場。
曲の上手い下手で肯定・否定されるのではなく、どちらも同価値で存在し、視聴者が「上手」の発見、「下手」の発見ができる場です。

初音ミク黎明期のボカロ界隈はニコ動のカテゴリランキングの中で「ズコー」というコメントが流れる曲と「神曲」と称えられる曲が混在していました。
私はその曲の中で流れるコメントを見て「この曲はミックスに問題があるんだ」とか「これは他と比べ手がここが違うのか」とか何がダメで何が良いのかを勉強することができました。
今のボカロ曲界隈に必要なのはこんな環境ではないかと考えるのです。
具体的な実現方法の案としては、作曲技術の勉強を目的としたコンテストの開催かなと考えています。

商業レベルで活躍しているボカロPさん達の場をF1レースと例えるならば、地方のカートの草レースでしょうか。
何の権威も賞金も無いけど、未来のF1レーサーもアマチュアレーサーも混在している、まだ何者でもない、でも、何者かになるかもしれない人達の集まる場。未来の始まりの場。
そんな場が私の理想のボカロ曲発表の場なのだろうと考え至りました。

なので、私はその草レース場のオーナーになることが当面の目標になるのかな。

2015年3月9日月曜日

「入門さえできない人のための作曲講座 教養編 其の2」を投稿しました

 「入門さえできない人のための作曲講座 教養編 其の2」が完成したので、ニコニコ動画に投稿しました。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm25751459

 なお、本編の後編は製作中です。

2015年3月1日日曜日

「Forgerの備忘録」 第5回 小論文と歌謡曲-構造分析によるメタ楽曲分析

 Forgerです。今回は、小論文と歌謡曲の比較を通して、音楽理論とは違った視点から音楽の構造についてお話しします。

 結論から言うと、「5パラグラフ・エッセイ」という形式で書かれる小論文と一般的な歌謡曲の構造はほぼ同じということになります。

 では、具体的に両者を比較してみましょう。

 まず、1番小さい構成単位の比較からです。小論文の最小構成単位は「音素」です。日本語だと、五十音で表される「み」とか「か」とか「ん」とかのことです。歌謡曲の最小構成単位は「音」です。所謂、「ド」とか「レ」とか「ミ」とかのことです。

 次に、2番目の構成単位です。小論文の2番目の構成単位は「単語」です。「みかん」とか「りんご」とか、「音素」を複数組み合わせて構成されています。歌謡曲の2番目の構成単位は「動機」(モチーフ)です。「音」を組み合わせて構成されていて、普通は「2小節の長さ」です。例えば、「かえるの合唱」は「ドレミファミレド―」と「ドー、ドー、ドー、ドー」という2つの「動機」とその変形だけで構成されています。


 そして、3番目の構成単位です。小論文の3番目の構成単位は「文」です。「私はみかんを食べた」とか「彼はりんごを持っている」とか、「単語」を複数組み合わせて構成されています。歌謡曲の3番目の構成単位は「フレーズ」です。「動機」を組み合わせて構成されていて、普通は「4小節以上の長さ」です。

 さらに、4番目の構成単位です。小論文の4番目の構成単位は「パラグラフ」です。この記事だと一行を空けて一まとまりになっているのが「1パラフラフ」で、「文」を複数組み合わせて構成されています。歌謡曲の4番目の構成単位は「メロディー」です。「フレーズ」を組み合わせて構成されていて、普通は「8小節以上の長さ」です。

 最後に、5番目の構成単位です。5パラグラフ・エッセイの形式で書かれた小論文は、序論が1パラグラフ、本論が3パラフラフ、結論が1パラフラフという構成になっています。一般的な歌謡曲は、前奏、Aメロディー、Bメロディー、サビ、後奏という構成になっています。

 以上をまとめると、

「音素」/「音」
「単語」/「動機」
「文」 /「フレーズ」
「パラグラフ」/「メロディー」

と言う風に構成単位が下から上へ階層化されています。

 そして、小論文も歌謡曲も5つの最大構成単位(「パラフラフ」/「メロディー」)を組み合わせて作られているという共通の構造を持っていると分析できます。
 実は、このあたりの構造分析は、音楽理論では「楽曲分析」や「楽式論」というれっきとした一分野があり、細かい話をすると限がないのですが、大まかなイメージを掴んでもらうために、正確さは無視してかなりざっくりと説明しました。

 もし、こういった構造分析に興味のある方は、「楽曲分析」や「楽式論」などについて、インターネットで検索したり、解説書を読んでみたりしてみたら良いでしょう。

 なお、簡単な童謡を対象に、ごく初歩的な「楽曲分析」や、それを基に「作曲練習」をすることについて、本編とは別に「研究編」として発表する予定ですので、気長にお待ちいただけると幸いです。